過払金とは?
過払金とは?
キャッシング取引をしていると過払金が発生することがあると言われます。過払金という単語はよく見かけたり聞いたりすると思いますが、過払金がどのようなものであるか簡単に言うと、貸金業者からの借金を返済する際に払い過ぎたお金のことです。
では、なぜ貸金業者からの借金を返済する際に、払い過ぎが発生することがあるのでしょうか?それは、かつて、一定の要件のもと、利息制限法の上限利率を超える利率の設定が認められており、実際に上限利率を超える利率が設定されていたものの、裁判所でその要件が厳格に判断され、上限利率を超える利息の取得がほぼ認められなくなったためです。
上記で貸金業者と書きましたが、貸金業者とは、消費者金融とクレジットカード会社を指しますので、消費者金融やクレジットカード会社とキャッシング取引をしている場合に、過払金発生の可能性があることになります。銀行との取引やショッピング利用は過払金の対象外のため、注意が必要です。
過払金のより正確な定義は、最高裁判所の判決文に示されています。具体的には、過払金は「債務者が利息制限法所定の制限をこえて‥利息・損害金の支払を継続し、その制限超過部分を元本に充当すると、計算上元本が完済となったとき、その後に支払われた金額」(最高裁判所昭和43年11月13日大法廷判決 民集第22巻12号2526頁)とされています。
過払金が発生する取引はいつ頃のもの?
過払金は、消費者金融やクレジットカード会社とキャッシング取引をしている場合に発生することがありますが、すべての時期の取引について発生するわけではありません。
過払金が発生することがあるのは、2007年(平成19年)頃より前からのキャッシング取引です。
なぜ、2007年頃より前からのキャッシング取引に限定されるのでしょうか?それは、2007年頃に多くの消費者金融やクレジットカード会社が利率を引き下げ、利息制限法内のものに変更したからです。その頃に利率が引き下げられた理由ですが、2004年・2005年・2006年の一連の最高裁判決で、利息制限法の上限利率を超える利息の取得がほぼ認められなくなったためです(最高裁判所平成16年2月20日第二小法廷判決 民集第58巻2号475頁・最高裁判所平成17年12月15日第一小法廷判決 民集第59巻10号2899頁・最高裁判所平成18年1月13日第二小法廷判決 民集第60巻1号1頁)。平成22年6月18日からは、貸金業法改正により利息制限法の上限利率を超える利息の取得が完全に認められなくなったため、どれだけ遅くとも、平成22年6月17日までにキャッシング取引が開始していないと、過払金が発生することはありません。
過払金はここ10年ほどの取引では発生せず、もっと前からの取引である必要がある点は押さえておく必要があります。
過払金はどのくらいの利率の時に発生する?
過払金は、利息制限法の上限利率を超える利率が設定されているときに発生します。具体的には、①元本が10万円未満の場合は20%超の場合、②元本が10万円以上100万円未満の場合は18%超の場合、③元本が100万円以上の場合は15%超の場合に、過払金が発生します。
| No | 元本金額 | 利息 |
|---|---|---|
| 1 | 10万円未満の場合 | 20%超 |
| 2 | 10万円以上100万円未満 | 18%超 |
| 3 | 100万円以上 | 15%超 |
年利15%~20%というと相当高い利率のようにも思えますが、少なくとも年利15%~20%を超えていなければ過払金が発生しないので、注意が必要です。
こちらもご確認ください
過払金はいつまで請求できる?
過払金は、完済してから10年経過すると時効で回収ができなくなります(民法166条、最高裁判所平成21年1月22日第一小法廷判決 民集第63巻1号247頁)。そのため、過払金は完済してから10年以内に請求しなければなりません。
どこまでさかのぼって請求できるかですが、完済から10年経っていなければ、例えば30年前に発生した過払金も請求できるのが原則です。ただし、追加借り入れができない状態になっている場合は、10年前に発生した過払金までしかさかのぼれず、例えば30年前に発生した過払金は請求できない可能性があります。
こちらもご確認ください
弁護士によるまとめ
以上、過払金がどのようなものであるか、どのような場合に発生するか等について見てきました。過払金を回収するには、様々な条件をクリアする必要があります。ただ、その条件を満たすかどうか分からないからと言って請求を躊躇していると、いつの間にか時効で回収できなくなることもあり得ます。消費者金融やクレジットカード会社とキャッシング取引をしたことがあり、過払金のことが気になっている方は、早めに弁護士に手続きを依頼するのをお勧めします。みお綜合法律事務所では、過払金の手続きを多くお受けしていますので、一度お問い合わせください。















