過払金回収2023年の傾向

更新日 2023/11/30
この過払金コラムを書いた弁護士
弁護士 羽賀 倫樹(はが ともき)

出身地:大阪府出身、奈良県育ち。出身大学:大阪大学法学部。

はじめに

みお綜合法律事務所では、貸金業者(消費者金融・クレジットカード会社)との取引で過払金が発生しているかどうかの調査や、過払金が発生していた場合の過払金請求の手続きを行っています。手続きを行っていると、調査をした中で過払金が発生する割合、過払金が発生した場合の金額、裁判手続きについて、10年~15年前と傾向が変わっていると感じることがあります。

 

本ページでは、過払金回収についての近時の傾向について記載をしていきます。

調査したものの過払金を回収できないケースが一定の割合で存在すること

貸金業者とキャッシング取引をしていても、初めから利息制限法内の取引である場合や、完済してから10年以上経過している場合は、過払金を回収できません。

 

利息制限法の利率を超える利率の設定があったのは、概ね2007年(平成19年)より前から取引があったケースになります。また、2010年(平成22年)6月18日以降の新規契約では、確実に利息制限法内の取引になっています。2023年となると、新規契約の利率が下がってから時間が経過しているため、調査の結果、取引開始が2007年より後で、初めから利息制限法内の取引のため過払金が回収できないというケースが10年~15年前より増えています。

 

また、貸金業者と取引中であれば完済して10年経過しているということはありませんが、完済してから過払金調査・請求の場合は、完済して10年経過しているということがあり得ます。最近は、完済した状態で過払金調査・請求を依頼される方が増えており、調査の結果、完済したのが10年以上前で過払金を回収できないというケースが、10年~15年前より増えています

 

以上のように、過払金調査の結果、初めから利息制限法内の取引であったり、完済してから10年以上経過しているケースが増えており、2023年時点の傾向として、以前より過払金を回収できない割合が増えています。過払金回収ができない理由を踏まえると、過払金を回収できない割合は、今後も高くなっていく可能性があります。

 

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過払金の基礎知識

過払金回収に至るケースでは、かつてより回収額が大きい傾向があること

次に、過払金回収額の傾向について見ていきます。一般論として、貸金業者との取引期間が長いほど発生している過払金は大きくなる傾向があります。

 

この点、2023年時点で過払金請求をする人は、貸金業者との取引期間が長いため、過払金が発生している場合は大きな金額になっているケースが多くなっています。例えば、1985年(昭和60年)に取引を開始し、2023年に完済して過払金請求をしたという場合、取引期間は38年にもなります。また、2005年に貸金業者と取引を開始し、2023年に完済して過払金請求をしたという場合でも、取引期間は18年あります。過払金回収に至る事案の中で取引期間が短いケースを想定すると、2006年に貸金業者と取引を開始して、2014年に完済したというケースが考えられますが、それでも取引期間は8年あります

 

このように、2023年時点で過払金回収に至るケースは取引期間が長く、10年~15年前と比較して回収できる過払金は平均して大きくなっています。当事務所の過払金回収事例をもとに具体的な金額を見てみると、2013年は1件あたり平均して約85万円でしたが、2023年は1件あたり約180万円となっており、2倍以上の開きがあります。

 

過払金回収額の平均が増えている理由を踏まえると、過払金回収に至る事例の平均回収額は、今後より高くなる可能性があります。

 

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過払金の回収事例

争点がある事案では、訴訟における主張・立証が細かくなる傾向があり、時間がかかるケースがあること

2023年の過払金請求の傾向として、取引分断や貸付停止等の争点があり訴訟に至った事案では、訴訟における主張・立証が細かくなる傾向があり、かつてより回収に時間がかかるケースがあります。そのような傾向がある理由としては、以下のようなものが考えられます。

 

 

  • かつては過払金請求の件数が非常に多く、貸金業者側はそれぞれの事案について細かく主張立証している余裕がなかったのに対し、最近は過払金請求の件数が落ち着き、貸金業者側にとって、それぞれの事案について細かく主張立証する余裕が出てきたこと
  •  かつては、一件当たりの過払金は今より少なく、貸金業者として細かく争わず払っていた事案もあると思われる一方、最近は過払金回収に至る事案では回収額が大きくなる傾向があり、貸金業者としては細かく争って少しでも過払金返還額を減らす必要性が高くなっていること

 

ただ、以上のような点を考慮しても、裁判をした方が過払金回収額が大きくなる傾向がありますので、発生している過払金が大きいケースでは、裁判をすることをお勧めするケースが多いと言えます。

弁護士によるまとめ

以上、2023年の過払金回収の傾向について見てきました。調査の結果、過払金回収に至らない割合は高くなる傾向がありますが、回収に至った事案では平均して以前より大きな金額を回収できています。

みお綜合法律事務所では、過払金調査について、相談料・着手金無料で手続きを行っています。調査をして過払金が発生していない場合は費用がかかりませんので、費用倒れのおそれがありません。お気軽にお問い合わせいただければと思います。
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