過払金回収のために裁判をするのは大袈裟なこと?

更新日 2024/04/15
この過払金コラムを書いた弁護士
弁護士 羽賀 倫樹(はが ともき)

出身地:大阪府出身、奈良県育ち。出身大学:大阪大学法学部。

はじめに

過払金の手続きを弁護士に依頼した場合の過払金回収方法ですが、消費者金融やクレジットカード会社との交渉で回収する場合と、裁判をして回収する場合があります。この点、交渉で過払金を回収するのはともかく、裁判までするのは大袈裟なことではないかと思われる方もいるかもしれません。このページでは、過払金回収のために裁判をするのは本当に大袈裟なことなのか、裁判をした場合、どのような手続き負担が発生するかについて見ていきます。

考えられる手続き負担

過払金回収のために裁判をするのが大袈裟なことというのは漠然としたイメージかもしれませんが、実際に考えられる手続き負担としては以下のようなものが考えられます。

 

弁護士事務所での打ち合わせ
裁判所への出廷
裁判所での尋問
過払金回収までに期間がかかること
弁護士費用が交渉より高くなること

 

ここからは、上記の手続き負担に関して、一般的な民事事件の場合と過払金訴訟の場合を比較しつつ見ていきます。

弁護士事務所での打ち合わせ

債権回収等の民事の裁判をする場合、一般的には、弁護士は依頼者の方と事実関係について事務所で打ち合わせをしつつ書面の作成や確認を行います。ただし、事実関係に争いがなく、法的評価だけが問題になる場合は、必ずしも打ち合わせは必要ないのが実情です。

この点、過払金回収の裁判の場合、事実関係は業者から開示される取引履歴から明らかで、あとは取引状況からいくら過払金が発生しているかの評価の部分のみが問題となることがほとんどです。そのため、過払金の訴訟をしたとしても、ほとんどの事案では弁護士事務所での打ち合わせは必要ありません。

裁判所への出廷

弁護士に依頼して民事の裁判を起こした場合、基本的に弁護士のみが裁判所に出廷します。依頼者の方に裁判所に出廷していただく必要があるのは、尋問や和解の協議が必要になったときなどに限られます。

これは、過払金回収の裁判の場合でも同じで、裁判所に出廷していただく必要があるのは、尋問や和解の協議が必要になったときなどに限られます。ただし、後記の通り、他の訴訟と違って尋問や和解の協議が必要になるケースが少ないことから、過払金の訴訟では、裁判所に出廷いただく必要が生じるケースはほとんどありません。

裁判所での尋問

一般的な民事の裁判では、尋問前に和解ができなければ、尋問となり裁判所への出廷が必要になります。尋問となると、裁判所での尋問以外に、尋問事項の事前確認、尋問のリハーサルが必要になるなど、手続き負担が大きくなります。

ただし、事実関係に争いがなく、法的評価のみが問題となる場合は、和解ができなくても尋問にはならないのが一般的です。

過払金の裁判の場合、ほとんどのケースで和解が成立しますし、和解が成立しなくても、上述の通り事実関係に争いがなく法的評価のみが問題となるケースがほとんどであるため、尋問が行われるケースはほとんどありません。

過払金回収までに期間がかかること

民事事件では、裁判をすると交渉よりも解決までの時間が長くなります。

この点は過払金訴訟でも同じで、過払金回収のために裁判をすると、交渉で回収するよりも時間がかかることがほとんどです。その間お待ちいただく必要がありますが、上述の通り、回収までの間の手続き負担はほとんどありません。

弁護士費用が交渉より高くなること

民事事件では、一般的に裁判をすると交渉より弁護士費用が高くなります。

この点は過払金訴訟でも同じで、交渉で過払金を回収するより、裁判で回収する方が、裁判所に納める印紙代等も含めた費用は高くなります。ただし、かかる費用以上に回収できる過払金が大きくなる見込みがある場合に裁判をしますので、過払金訴訟をする場合の弁護士費用は大きな負担にはならないと言えます。

 

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弁護士によるまとめ

このように見てくると、過払金の裁判は、裁判の一般的なイメージと異なるものと言えます。弁護士が手続きを進めていき、依頼者の方にとっては弁護士事務所での打ち合わせ・裁判所への出廷・裁判所での尋問等の手続き負担はほとんどありません。そのため、過払金回収のために裁判をするのは大袈裟なことと考える必要はないと言えるでしょう。
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