倒産した貸金業者について
はじめに
2007年(平成19年)以前から消費者金融やクレジットカード会社とキャッシング取引をしていた場合、過払金が発生し回収できる可能性があります。しかし、過払金返還によって貸金業者は経営状況が悪化し、倒産した業者も数多くあります。業者が倒産すると過払金回収は困難になります。
このページでは、過払金返還等が原因となり倒産に至った主な貸
倒産に至った主な貸金業者
過払金返還等が原因となり倒産に至った主な貸金業者には、以下の業者があります。
① | 武富士 |
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② | ライフ |
③ | クレディア |
④ | 丸和商事(ニコニコクレジット) |
⑤ | ニッシン(NISグループ) |
⑥ | クラヴィス(クオークローン・タンポート) |
⑦ | クロスシード(ネオラインキャピタル) |
⑧ | SFコーポレーション(三和ファイナンス) |
⑨ | ネットカード(オリエント信販) |
⑩ | アエル(日立信販) |
以下では、倒産に至った貸金業者について少し詳しく見ていきます。
⑴ 武富士
武富士は、かつてはアコム・プロミス・アイフル・レイク等と並んで大手の消費者金融として営業していました。しかし、過払金返還請求の急増により経営が悪化し、2010年(平成22年)9月に会社更生法の適用を申請し、倒産しました。武富士に対する過払金は会社更生手続きの中で処理をされ、また武富士は会社として消滅しているため、今から過払金の請求をすることはできません。
利息制限法に引き直しても武富士からの借入が残っていた場合は、日本保証に移転し、現在はクレディアから請求が来るケースがあります。
⑵ ライフ
ライフ(現ライフカード・アイフル)は、2000年(平成12年)に会社更生法の適用を申請しました。2000年6月30日以前のライフに対する過払金は会社更生手続き中で処理をされているため、今から過払金の請求をすることはできません。一方、ライフは会社更生後も会社として存続し、法定利息を超える利率で貸付をしていたため、2000年7月1日以降に発生した過払金は今も請求することが可能です。
⑶ クレディア
クレディアは、2007年(平成19年)9月に民事再生法の適用を申請しました。民事再生手続きにより、再生手続き前の過払金について、30万円以下は全額弁済、30万円超~75万円未満は30万円の弁済、75万円以上は40%弁済されることになりました。
クレディアは民事再生後も会社として存続しており、民事再生後の過払金は今でも法的には請求可能ですが、経営状況の問題等から回収が難しいことが多くなっています。
⑷ 丸和商事(ニコニコクレジット)
丸和商事は、2011年(平成23年)4月に民事再生法の適用を申請しました。丸和商事に対する過払金は民事再生手続きの中で処理されているため、今から過払金の請求をすることはできません。丸和商事は、現在ダイレクトワンという会社名で存続していますが、民事再生後は利息制限法内の貸付しかないため、民事再生後は過払金が発生しません。
⑸ ニッシン(NISグループ)
ニッシンは、2012年(平成24年)に民事再生法の適用を申請し、後に破産手続きに移行しました。過払金は倒産手続きの中で処理されているため、今から過払金の請求をすることはできません。
⑹ クラヴィス(クオークローン・タンポート)
クラヴィスは、2012年(平成24年)7月に破産法の適用を申請しました。クラヴィスに対する過払金は破産手続きの中で処理されているため、今から過払金の請求をすることはできません。ただし、クラヴィスと取引されていた方のうち、2007年(平成19年)にプロミスへの契約切替があった方は、過払金がプロミスに引き継がれているため、今でもプロミスに過払金の請求が可能です。
⑺ クロスシード(ネオラインキャピタル)
クロスシード(旧ネオラインキャピタル)は、2013年(平成25年)12月に破産手続き開始決定を受けました。クロスシードに対する過払金は破産手続きの中で処理されているため、今から過払金の請求をすることはできません。
⑻ SFコーポレーション(三和ファイナンス)
SFコーポレーション(旧三和ファイナンス)は、2011年(平成23年)8月に破産法の適用を申請しました。過払金は破産手続きの中で処理されているため、今から過払金の請求をすることはできません。
⑼ ネットカード(オリエント信販)
ネットカード(旧オリエント信販)は、2017年(平成29年)11月に破産手続き開始決定を受けました。ネットカードに対する過払金は破産手続きの中で処理されているため、今から過払金の請求をすることはできません。
⑽ アエル(日立信販)
アエル(旧日立信販)は2008年(平成20年)3月に民事再生法の適用を申請しました。民事再生手続きの中で順次過払金の弁済がされましたが、最終的に8.845%と低率の弁済にとどまっています。
弁護士によるまとめ
このように過払金返還請求等の影響により、貸金業者が倒産に至っているケースが数多くあります。貸金業者が倒産すると、戻ってくる過払金は大幅に少なくなります。この点、最近は過払金返還請求が落ち着きつつあり、貸金業者が倒産するケースも以前よりは減っています。しかし、いつ倒産に至るかは分かりませんし、完済してから時間が経過すると消滅時効により過払金の請求ができなくなることがあります。そのため、消費者金融やクレジットカード会社とキャッシング取引をしたことがあり、過払金のことが気になっているという方は、早めに弁護士に相談することをお勧めします。