過払金請求における交渉と裁判の違い

更新日 2023/03/26
この過払金コラムを書いた弁護士
弁護士 羽賀 倫樹(はが ともき)

出身地:大阪府出身、奈良県育ち。出身大学:大阪大学法学部。

はじめに

過払金の手続きを弁護士に依頼した場合、消費者金融やクレジットカード会社との交渉で過払金を回収する場合と、裁判をして回収する場合があります。このページでは、過払金請求における交渉と裁判の違いについて見ていきます。

回収できる過払い金の額

消費者金融やクレジットカード会社は、交渉では返還する過払金をできるだけ低くしようとしてきます。裁判でも返還する過払金をできるだけ低くしようとする業者の傾向は同じですが、最終的に回収できる金額は、交渉より大きくなることが多いと言えます。

具体的には、交渉では、過払金利息を考慮しないで計算した過払金元金程度の返還が限界ということがよくあります。これに対し、裁判になると、過払金利息も考慮した金額に近い金額の回収が期待できます。そのため、一般的には、過払金請求では、裁判をした方が回収額が大きくなるケースが多いと言えます。

ただし、完済して間がない場合など、過払金利息を考慮しても金額があまり変わらないケースもあります。その場合は、裁判をしても回収額はあまり変わりません。また、交渉では指摘されなかった争点が、裁判になって主張され、回収できる金額があまり変わらなかったり、裁判をして逆に下がってしまうケースもないわけではありません。

そのため、裁判をした方が回収額が増えるケースが多いとはいっても、全てのケースで裁判をした方が回収できる過払金が大きくなるというわけではありません。

過払い金を回収するまでの期間

過払金を回収するまでの期間は、ご依頼いただいてから半年~1年程度です。一般的には交渉の方が回収するまでの期間が短く、裁判をした方が回収するまでの期間は長くなります。ただし、一部の業者について、交渉では金額がまとまってから返還までの期間が長い一方、裁判では金額がまとまってから返還までの期間が短いことがあり、裁判をした方が過払金を回収するまでの期間が短いというケースがあります。

依頼者の方の手続き負担

過払金回収のために裁判をするのは大袈裟なことで、手続き負担も大きいと思われる方もいらっしゃると思います。この点ですが、過払金請求の裁判は、手続きの大半を弁護士が行うことができ、依頼者の方の手続き負担はほとんどないケースが大半です。裁判と言っても、判決に至ることは少なく、ほとんどの場合和解で解決していますので、交渉の延長と言ってもいいかもしれません。

手続き負担として考えられるのは、裁判中の来所打ち合わせや、裁判所への出廷等がありますが、過払金請求ではほとんどの事案でそのようなことは必要ありません。裁判の手続き負担を考慮して、裁判をせず交渉で解決する必要はないと言えるでしょう。

弁護士費用

弁護士費用は、一般に裁判をした方が高くなりますし、みお綜合法律事務所でも裁判をした方が費用が高くなります。具体的には、裁判をすると、過払金回収額に対する費用の割合が交渉より上がったり、裁判所に納める印紙代等がかかります。

そのため、裁判をしても回収額が大きくなる見込みがあっても、差額が大きくない場合は、裁判ではなく交渉で過払金を回収することがあります。

交渉と裁判のどちらがいいか

交渉か裁判かの選択ですが、個別の事案によりますので、どちらがいいか一概にいうことはできません。ただ、傾向としては、発生している過払金が大きいケースや(例えば100万円以上の過払金が発生しているような場合等)、完済してから時間が経過しているなどの事情で過払金利息が大きくなっている場合(過払金元金が50万円程度であるものの、完済から10年近く経過して利息が25万円近く発生しているような場合等)は、裁判をした方がいいことが多いと言えます。一方、発生している過払金がそれほど大きくなく、過払金利息も大きくない場合は、交渉で解決した方がいいことが多いでしょう。

一部の業者では、交渉では発生した過払金の半分程度しか返還できないと主張してくるケースもあります。このような場合は、発生している過払金が50万円位で、過払金利息があまりついていないような場合でも、裁判をした方がいいケースがあります。

先ほど記載した通り、交渉がいいか裁判がいいかは、個別の事案によります。みお綜合法律事務所では、過払金請求の手続きをご依頼いただいた場合、どちらの手続きがいいかをご説明した上で手続きを進めますので、ご安心いただければと思います。

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