貸金業者から開示される取引履歴について
はじめに
弁護士が貸金業者に取引履歴の開示請求をすると、取引履歴が開示されます。取引履歴には、貸金業者との取引状況に関する様々な情報が記載されています。貸付日、貸付金額、返済日、返済金額は各社とも記載されていますが、その他の記載内容は業者によって異なります。このページでは、貸金業者ごとの取引履歴の内容について見ていきます。
各社の取引履歴の内容
⑴ アコム
アコムの取引履歴には、貸付日、貸付金額、返済日、返済金額以外に、基本契約の締結・解約、貸付・返済の場所(ATM・店頭・提携CD等)、通常利率・遅延利率、元本・利息・遅延損害金への充当額、残元本、無利息残高等の情報が記載されています。
他の消費者金融の取引履歴より情報量が多く、特に、基本契約の締結・解約が明確に記載されていることから、取引の一連性判断がやりやすいのが特徴と言えます。
関連情報
⑵ プロミス(SMBCコンシューマーファイナンス)
プロミスの取引履歴には、貸付日、貸付金額、返済日、返済金額以外に、基本契約の締結、貸付上限額、貸付・返済の場所(ATM・店頭・提携CD等)、残元本等の情報が記載されています。利率は記載がある場合と、記載がない場合があります。取引履歴の形式が複数あり、形式によって記載内容が異なることがあります。
比較的情報量は多いと言えますが、約定利率が記載されていないケースがあるため、取引履歴を見ただけでは過払金が発生しているかどうか判断しづらいことがあります。
⑶ アイフル
アイフルの取引履歴には、貸付日、貸付金額、返済日、返済金額以外に、通常利率・遅延利率、元本充当額、残元本、無利息残高等の情報が記載されています。
他の消費者金融の取引履歴より情報量が少なく、基本契約の締結・解約に関わる情報がないため、取引の一連性判断が難しいと言えます。
関連情報
⑷ レイク(新生フィナンシャル)
レイクの取引履歴には、貸付日、貸付金額、返済日、返済金額以外に、基本契約の締結、貸付上限額、元本・利息・遅延損害金への充当額、残元本、約定利率・延滞利率等の情報が記載されています。
情報量は比較的多いと言えますが、基本契約の解約があったかが明確ではないため、取引の一連性判断のための情報は十分とは言えないかもしれません。
⑸ シンキ(新生パーソナルローン)
シンキの取引履歴には、貸付日、貸付金額、返済日、返済金額以外に、基本契約の締結、元本・利息への充当額、残元本等の情報が記載されています。
情報は比較的少なく、約定利率が記載されていないため、取引履歴を見ただけでは過払金が発生しているかどうか判断しづらいと言えます。
⑹ セディナ(SMBCファイナンスサービス)
セディナの取引履歴には、貸付日、貸付金額、返済日、返済金額以外に、基本契約日、約定利率、引き直し計算利率、元本充当額、残元本(引き直し計算後で、過払金利息は考慮しないもの)等の情報が記載されています。
引き直し計算をしているため、取引履歴を見れば発生している過払金の額が分かりますが、過払金利息が考慮されていないため、弁護士が計算すると過払金の額がより大きくなることがあります。
セディナは様々な会社が合併してできた会社であるため、元となる会社がどこであるかによって取引履歴の形式が異なることがあります。
⑺ オリコ
オリコの取引履歴には、貸付日、貸付金額、返済日、返済金額以外に、引き直し計算利率、元本・利息への充当額、残元本(引き直し計算後で、過払金利息は考慮しないもの)等の情報が記載されています。
引き直し計算をしている場合には、取引履歴を見れば発生している過払金の額が分かりますが、過払金利息が考慮されていないため、弁護士が計算すると過払金の額がより大きくなることが多いと言えます。
関連情報
⑻ クレディセゾン
クレディセゾンの取引履歴には、貸付日、貸付金額、返済日、返済金額以外に、約定利率、元本への充当額、残元本(引き直し計算後で、過払金利息は考慮しないもの)、最終取引時点の約定元本等の情報が記載されています。
引き直し計算をしているため、取引履歴を見れば発生している過払金の額が分かりますが、過払金利息が考慮されていないため、弁護士が計算すると過払金の額がより大きくなることが多いと言えます。
関連情報
⑼ イオン
イオンの取引履歴には、貸付日、貸付金額、返済日、返済金額以外に、基本契約日、引き直し計算利率、元本への充当額、残元本(引き直し計算後で、過払金利息は考慮しないもの)等の情報が記載されています。
引き直し計算をしているため、取引履歴を見れば発生している過払金の額が分かりますが、過払金利息が考慮されていないため、弁護士が計算すると過払金の額がより大きくなることが多いと言えます。
関連情報
⑽ 三菱UFJニコス
三菱UFJニコスの取引履歴には、貸付日、貸付金額、返済日、返済金額以外に、基本契約日、引き直し計算利率、元本充当額、約定利率、残元本(引き直し計算後で、過払金利息は考慮しないもの)等の情報が記載されています。
引き直し計算をしているため、取引履歴を見れば発生している過払金の額が分かりますが、過払金利息が考慮されていないため、弁護士が計算すると過払金の額がより大きくなることが多いと言えます。
⑾ ライフカード
ライフカードの取引履歴には、貸付日、貸付金額、返済日、返済金額以外に、引き直し計算利率、元本充当額、残元本(引き直し計算後で、過払金利息は考慮しないもの)等の情報が記載されています。
引き直し計算をしているため、取引履歴を見れば発生している過払金の額が分かりますが、過払金利息が考慮されていないため、弁護士が計算すると過払金の額がより大きくなることがあります。
ライフカードの取引履歴はよりシンプルな場合があり、貸付日、貸付金額、返済日、返済金額しか記載されていないものもあります。その場合は、取引履歴を見ただけでは過払金が発生しているかの判断が難しくなります。
関連情報
⑿ ポケットカード
ポケットカードの取引履歴には、貸付日、貸付金額、返済日、返済金額以外に、最終取引時点の約定残高、約定利率等の情報が記載されています。
大手クレジットカード会社の中では珍しく、引き直し計算後の残元本の記載がないのが特徴と言えます。約定利率の記載があるため、払い過ぎの利息があるかどうかは分かりますが、約定元本が残っている場合は、取引履歴から過払金が発生しているかを判断するのは難しくなります。
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弁護士によるまとめ
以上、大手の貸金業者の取引履歴の詳細について見てみました。業者によって形式が異なり、取引履歴から得られる情報量には差がありますが、どの業者であっても弁護士が取引履歴から必要な情報をピックアップして引き直し計算をし、過払金の有無を判断します。安心して弁護士に過払金の手続きをお任せいただければと思います。