過払金請求は弁護士と司法書士のどちらに依頼するのがいい?

更新日 2022/06/06
この過払金コラムを書いた弁護士
弁護士 羽賀 倫樹(はが ともき)

出身地:大阪府出身、奈良県育ち。出身大学:大阪大学法学部。

はじめに

消費者金融やクレジットカード会社に対する過払金の手続は、弁護士と司法書士に依頼することができます。どちらにも依頼できるとなると、どちらに依頼するのがいいか悩んでしまうかもしれません。このページではどちらに依頼するのがいいかを見ていきます。

過払金返還請求は弁護士への依頼がお勧め

結論からいうと、弁護士への依頼がお勧めです。理由は、司法書士の場合、代理権限に制限があり、過払金の手続きの全てを任せられないケースがあるためです。具体的には、司法書士の場合、①過払金の元金が140万円を超える場合、②過払金の元金が140万円以下であっても控訴審での手続きが必要になる場合(簡易裁判所で判決が出て、消費者側・貸金業者側のいずれかまたは双方から控訴する場合)には手続きを代理できません(司法書士法3条1項6号イ、裁判所法33条1項1号)。

どの程度の頻度で①②の問題が生じるかですが、②の控訴審での手続きが必要になるケースはあまり多くありません。業者にもよりますし、消費者側の対応にもよりますが、当事務所の過払金事件の場合、控訴審になることはほとんどありませんので、あまり気にしなくていいかもしれません。

一方、①の過払金の元金が140万円を超えることはよくあります。過払金回収に至った事案のうち、5分の1程度は140万円超の金額を回収していますし(※)、依頼の時点では過払金がいくら発生するか分かりませんので、全ての方に発生する可能性がある問題と言えます。

※過払金の元金が140万円以下であっても、過払金利息も含めて回収した結果、回収額が140万円を超えることもありますし、過払金の元金が140万円を超えても、争点や相手方の経営状況によっては、140万円未満の回収にとどまることもありますので、過払金の元金が140万円を超える場合=過払金回収額が140万円を超える場合とは限りません。ただ、過払金の元金と回収額はある程度近いものになることが多いため、司法書士では手続きができなくなる割合を知る上で、回収額のデータは参考になると言えます。

それでは、上記①②の場合、具体的には、どのような問題が生じるのでしょうか。

司法書士に依頼した場合に生じうる問題点

上記①②の状況になった場合、以下のいずれかの方法を取らざるを得なくなります。

①過払金の手続きを取り下げる

②司法書士ではなく本人が過払金の手続きを行う

③司法書士から弁護士に過払金の手続きを引き継ぐ

 

①の方法では、過払金が回収できなくなります。

②の方法では、せっかく専門家に手続きを依頼したのに、自分で手続きをしなくてはいけなくなります。

③の方法であれば、最後まで専門家に過払金の手続きを依頼できますが、依頼の手続きを2回行わないといけませんし、初めから弁護士に依頼するより費用が高くなるおそれがあります。

このように、過払金の手続きを司法書士に依頼すると、依頼者の方に不利益が生じることがあります。

その確率も低いとは言えませんので、手続きを安心して任せることは難しいかもしれません。

弁護士に依頼するデメリットはない?

弁護士は司法書士より費用が高いのではないかと心配される方もいらっしゃいます。この点ですが、費用は事務所次第で、どちらか高いとは一概言えませんし、個人的には、司法書士の方が安いという印象はありません。

そのため、弁護士に依頼する際、費用面は特にデメリットにはならないと言えます。

弁護士によるまとめ

過払金手続は、弁護士に依頼すれば、手続きの全てを安心して任せることができます。そのため、弁護士に依頼することをお勧めします。

過払い金にいて相談したい方は、お気軽にお問い合わせください。
過払い調査・計算サービス